高周波5Gワイヤレスインフラストラクチャには新たなアプローチのPCB製造が必要

2018.6.21

世界的な運用開始が迫っている5Gワイヤレスインフラストラクチャについてと、この技術が、携帯電話の接続や固定ワイヤレスサービスから、輸送、産業、エンターテイメントなどのアプリケーション、その他のアプリケーションに至るあらゆるものに及ぼす影響については、数多くの記事が書かれてきました。10倍高速のデータレートと(将来的には100倍までの速度が計画されている)、1,000倍のデータトラフィックを扱うことのできる容量を提供する5Gは、人間、自律走行車、IoTデバイス、産業用機械、および社会基盤を包含する統合的接続網の実現を可能にします。

ダウンロード速度が速くなればレイテンシーは小さくなりますが、これは、リアルタイムに近いシステム応答性が求められるアプリケーションには欠かすことのできない要素です。これは、拡張現実および仮想現実(AR/VR)のシームレス性、機械間(M2M)通信の精度、および産業インフラストラクチャの生産性などに影響します。おそらく最も重要なことは、超低レイテンシーの5Gワイヤレスが、自律車両/航空機間や道路/航空路センサー間の接続改善を通じて、より安全な輸送を可能にするだろうということです。このような用途では乗客の安全が問題となるため、1ミリ秒単位の車両や機体の応答が重要です。

5Gを利用するこれらのアプリケーションは、エラーに関するマージンがあり得ないほど小さく、ネットワークに新たな電子デバイスを接続するごとに、システムの不具合や通信故障のリスクは指数関数的に増大します。デバイスレベルで言うと、これは、リアルタイム5G通信の維持を助けるために、性能と品質に関して、より高い基準を個々のPCBすべてに適用する必要があることを意味します。これらの課題に対応するためにさまざまな技術とプロセスが開発されていますが、PCBサプライヤーはその製造工程を再考しており、品質保証を改善すると同時に生産効率を向上させるような、新しい製造システムに目を向けています。

シグナルインテグリティに関する課題

5Gでは、使用周波数が高いという点がPCBメーカーにとって大きな課題となりますが、電子デバイスの小型化が進んでいることがこの課題をより困難なものにしています。これらの小型デバイスに使われる高密度配線(HDI)には、システムサイズを最小限に抑えながら最大限のI/Oを実現できるよう、より細いパターンが求められます。しかし、配線の精細化には信号品質の低下というリスクが伴います。配線の物理的特性、例えば上端と基部の幅と意図した設計との間に何らかの差がある場合は、RF信号の送信にミリ秒単位の遅れが出て、信号が同期されていない場合、シグナルチェーンの両端ではその影響が累積して現れる可能性があります。

図1. 2D Metrology技術を活用したPCBの上端/基部のパターン導体の検査と測定

高周波におけるシグナルインテグリティは、PCBパターンの微小形状内での厳密なインピーダンス管理に依存し、インピーダンスは、ライン断面の寸法、形状、ライン/スペース幅、および誘電体材料の影響を受けます。従来のサブトラクティブエッチングプロセスを使用して形成されたパターンにおいて一般的な台形形状断面は、さまざまなインピーダンス異常を発生させる可能性があります。モディファイド・セミアディティブプロセス(mSAP)の発展はこの問題を緩和する助けとなり、パターンを高い精度で形成することを可能にして、より直線的な側面ラインを形成し、より正確にインピーダンスを管理できるようになりました。

mSAPと従来型手法のどちらを使用するにしても、PCBを検査して、致命的な短絡や断線から銅表面の欠陥に至るまでのさまざまなタイプの欠陥を検出するには、光学式自動外観検査装置(AOI)ツールを使用する必要があります。これまでAOIの主な目的は、CAM設計を検査して、大量生産が正確に行われているか、および製品が設計規則に適合しているかを確認することにありました。しかし今日のPCBにはこれだけでは不十分で、より正確にインピーダンス管理を行うことが求められます。また、この際には、実際のラインや導体の物理的な特性がより重要な役割を果たします。現在、測定機能を備えているAOIツールはわずかで、それらも導体上端のパターン幅のみを測定するものであり、基部の幅は完全に無視されています。以上の問題に対処するには、上端と基部の測定を行う必要があります。現在に至るまで、これらの測定は顕微鏡により常に手動で行われてきました。これは手のかかるオフラインプロセスであり、生産速度を大幅に低下させます。結果として、通常はサンプリングされたわずかな数のパネルに対してのみ行われ、大部分のパネルはテストされないままとなります。

電子デバイスの機能が豊富になる一方で小型化が進むに従い、より高度なPCB製造法が求められるようになりました。これは例えばレーザービア(LV)形態のHDIを実現できるような方法であり、より多くのI/Oを組み込む際に欠かせません。HDIやフレキシブルPCBではスペースの有効利用のためにより細いラインが求められるのと同様に、高密度設計ではボードの層を接続するためにより径の小さいビアが求められます。現在のところ、PCBメーカーは、穿孔工程(DLD: Direct Laser Drilling)の直後に少数のサンプルを抽出してLVの検査を行っています。また、パターニングの後にも、メッキ工程で生じたLV欠陥の有無を確認して工程品質を確認し、生産高を改善するために、パネルの全数検査を行う必要があります。現時点で、微細な配線パターンと小型ビアを1回のスキャンで検査するために必要な能力はコスト効率の良いものではなく、通常、従来のAOIシステムには組み込まれていません。

AOIの進歩

現在まで、先に述べたAOI能力(およびパターン検査やマルチイメージ検証等のその他の能力)を追求するPCBメーカーは、さまざまな種類のソリューションやツールを組み合わせなければなりませんでしたが、これはプロセスの効率を大幅に低下させ、製造現場の貴重なスペースを無駄にしてきました。さらに悪いことには、顕微鏡による手動計測用にパネルをサンプリングするために、しばしば生産を停止しなければなりませんでした。ここでかなりの時間が失われてしまいますが、巨大な5G市場における機会を得ようとリーダーシップの地位を争うPCBメーカーにとって、時間は極めて貴重なリソースです。

幸い、AOI技術の継続的な革新によって、これらの課題は解決可能なものとなっています。PCBメーカーは、最近、2D Metrology技術を活用してPCBの上端と基部のパターン導体を自動的に検査および測定する能力を獲得しました(図1)。これは配線の最適な形状と幅を実現し、さらに高周波数を使用する5Gデバイスのインピーダンス管理の改善を可能にします。このテストは、高いスループットレートとサンプリングレートで均一に行うことも可能で、そのメーカーの生産高を改善します。

AOIシステムの統合化は進歩を続けており、PCBメーカーは、パターン検査やレーザービア検査、あるいはパターンおよびパッド計測のようなAOIプロセスを、より小さなフットプリントで一つのプラットフォームにまとめることができるようになりました。スマート機能を備えた技術的に進んだAOIシステムを統合化し、複数の機能を一つのAOIソリューションで実行できるようにすることを通じて実現できる時間と労力の節約は、これに関連するスループットの向上と同様、相当な量におよびます。個々のAOI機能も、複数のイメージを同時に分析してパターンとレーザービアの欠陥検出率を向上させることのできる新しいシングルスキャン技術を利用することにより、統合化が可能です。

検証プロセスの改善

今では検証プロセスもAOIのワークフローにシームレスに組み込むことができるようになり、追加的なスタンドアローンシステムを使って、誤アラームの中から本当のPCB欠陥を特定してより分ける必要がなくなりました。検証プロセスが3:1もの比率で検査プロセスよりもかなりリソース集約的なものとなり得ることを考えると、これは特に重要な点です。より厳格な検証要件と品質要件を伴う5Gのような要求の厳しいアプリケーションでは、従来のように種類の異なるソリューションで構成されたAOIツール(異種AOIシステム)を使用した場合、新世代の統合型AOIプラットフォームを使用した場合よりも多くの検証ステーションが必要となり、フロアスペースもオペレーターも増えて、大幅なコスト増を招く結果となります。

新しいアプローチでは、プロセスのフロントエンド部分にイメージ検査と誤アラーム排除のための先進的な人工知能(AI)機能が採用されており、オペレーターによる検査に先だって大量の誤アラームを自動的に排除します。プロセスのバックエンド側では、追加的な自動化によってオペレーターは複数のイメージを一つのディスプレイ上に同時に表示し、有機物質や酸化による誤アラームをカラーコード分類により画面上で事前に識別することができます。これによってオペレーターは自動処理で除外されずに残った誤アラームを迅速に排除して、自動光学シェイピング(AOS)システムによるシェイピングが必要な欠陥を識別することができます。

検証システムを自動化して統合化されたAOIのワークフロー内に緊密に組み込むことにより、メーカーは、個々のパネルを数多くの検証ステーションの中の一つに移動して、ビデオ画像を一つずつ管理する時間と費用を節約することができます。これにより多数のステーションを使用するのではなく、そのすべての作業を、工場内のどこか離れた場所に設けた一箇所の集中化されたリモートマルチイメージ検証(RMIV)ステーションで行うことが可能になります。追加的な利点として、各パネルを検査テーブルへ移動して取り付け/取り外しを行うために必要なハンドリングを無くすことによって、パネルを物理的に損傷させるリスクも大幅に減ります。

データの解析とデバイスのトレーサビリティ

AOIシステム統合化の2次的な利点は、貴重な生産データを、生産現場に設置した異種AOIシステムよりもはるかに効率的に収集、集約、解析できることです。一箇所から収集したデータによって、PCBメーカーは迅速に重要な情報を抽出して貴重な所見を導き出し、さらにそれを基に、より豊富な情報に基づく意思決定を迅速に行うことができます。

統合化されたAOIワークフローは、製造工程全般を通じたPCBのバーコード化と追跡も容易にして、各PCBがいつ、どこで、どのように扱われたかを確認し、一覧化することができます。製造工程の完全な記録を作成することによって、メーカーは欠陥のあるPCBを早期に、つまり最終製品に組み込むはるか前に識別して隔離し、工程の改善と生産高の向上を実現することができます。

5Gへの準備

5Gによる接続が完全に実現されるまでには、まだ少し時間がかかります。現在はテストとトライアル展開が進められており、限定的な商用展開が2018年後半に開始されると見込まれています。しかし、より広範な商用展開は2019年以降になると予想されます。5Gが主流として採用されるまでには、解決すべき法的および技術的課題がまだ数多く残っています。

その一方で、5G技術のバリューチェーンを構成する各社は、移動体通信業者やスマートフォンおよび自律走行車両のOEMから、電子デバイスおよびPCBメーカー、その他さまざまな業者に至るまで、大規模な市場変革に備えています。5Gネットワークノードが扱う膨大な量のデータセットについては、公共の安全や産業界の生産性に影響を与える重要なデータを含めて、ネットワークからシステム、そして部品にいたるまで、品質保証に十分な注意を払うことが求められます。

統合化された先進的AOI技術を利用することによって、高周波数低レイテンシーの5Gシステムを目指すPCBメーカーは、より迅速で高精度のPCB検査と検証、および製造工程全般にわたって改善されたPCBのトレーサビリティの恩恵を受けることができます。これによって得られる製造およびコストの効率に関わる利点は、PCBメーカーが、5Gインフラストラクチャの大規模かつ恒久的な構築よりも先に、その競争上の優位性を強化することを可能にします。

執筆:Benny Solomon, AOI Marketing Director, PCB Division, Orbotech

Published by: Evaluation Engineering

 

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